ボートライセンスオフィシャルサイト

JMRA

一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会 小型船舶操縦士試験機関 操縦免許証更新講習機関

文字サイズ

資料集

小型船舶操縦士免許制度の変遷

小型船舶操縦士免許制度の変遷について、
年月、変遷内容及び当時の小型船舶操縦士の海技免状・操縦免許証の形式を紹介します。

1.小型船舶操縦士免許制度の変遷概要

年 月 変遷概要 小型船舶操縦士の海技免状・
操縦免許証の形式
昭和26年10月 旧船舶職員法(明治29年制定)を廃止し、新船舶職員法施行
  1. 20トン未満の船舶の資格に小型船舶操縦士の制度を設けた
    • 対象は20トン未満の漁船の乗組員。5トン未満の船舶は対象外
    • 試験は国が直接実施し、身体検査と学科試験と1年以上の乗船履歴で免許が与えられた
  2. 5年ごとの免許の更新制度を採用した。
書状形式の免状
昭和32年 船舶職員法改正
  1. 免許更新制度を廃止し、終身制とした。
  2. 総トン数5トン未満の小型船舶に対し、特定の目的(旅客船等)で船舶を運行する場合に限り免許受有者の乗組みを義務付けた。
紺色手帳(固い紙表紙)
昭和40年 国家試験の受験資格である乗船履歴を3ヶ月以上に軽減し、代わりに実技試験を実施した。 紺色手帳(ビニール表紙)
昭和49年5月 船舶職員法の改正
  1. 大型船と小型船の免許が区分された。
  2. 小型船については、従来の5トン以上20トン未満に加え、5トン未満の船舶にも免許制度を適用するとともに一~四級の級別とした。
  3. 旧資格の移行
    • 旧小型船舶操縦士 → 一級
      改正法附則第3条に基づく旧小型船舶操縦士の資格者の新資格への移行講習開始
      (10年間の限定。引換期間終了後は無効)
    • 5トン未満生業者 → 一~四級5トン未満
      改正法附則第4条に基づく認定者の免許付与開始
      (3年間の限定)
  4. 小型船舶操縦士試験機関指定(S49.3)
(財)日本モーターボート協会が指定される
新制度に基づく国家試験開始
新制度に基づく養成施設開始(4団体)
移行講習手続き後


新制度以降
昭和54年10月
  1. 海技免許登録及び免状作成を電算化
  2. 海技免状の形状変更(縦16cm×横12cm)
ラミネート二つ折り
昭和58年4月 船舶職員法改正
  1. 海技免状の更新制度(5年毎)を制導入した。(STCW条約の批准による)
  2. 海技免状の形状変更
    • 更新時は海技免状の裏面にスタンプ押印
    • 旧免状はS58.4.30~H5.3.31の間に引き換え、その後5年毎に更新となった
ラミネート三つ折りA4サイズ
平成3年7月 試験機関指定変更
(財)日本海洋レジャー安全・振興協会
 
平成11年5月 船舶職員法改正
  1. 小型船舶操縦士の資格に五級が追加された。
  2. 海技免状の形状変更(小型のみ:縦9cm×横6cm)
ラミネート折り目なし
平成13年11月 障害者に係る欠格条項の見直しがあり、身体機能の確認が形状基準から能力基準に改正された。  
平成15年6月 法改正 法律名変更 「船舶職員法」→「船舶職員及び小型船舶操縦者法」
改正趣旨 小型船舶の船長を「小型船舶操縦者」と位置づけ、「船舶職員」の資格制度から「小型船舶操縦者」を分離
  1. 免許の資格区分再編成
    一級、二級及び特殊小型船舶操縦士の3区分に
  2. 小型船舶操縦者の遵守事項導入と遵守事項の違反者に対する再教育講習制度を設定
  3. 特定操縦免許の創設
    旅客船や遊漁船などの船長に対し、「小型旅客安全講習」の受講を要する「特定操縦免許」制度を創設
カードサイズ


(H19.9から裏面偽造防止策)
平成16年11月 小型船舶操縦者法施行規則改正
一級及び二級の5トン限定区分廃止
 
平成25年4月 指定試験機関名称変更 (一財)日本海洋レジャー安全・振興協会  

▲PAGE TOP

2.小型船舶操縦士免許の創設

昭和26年4月16日「小型船舶操縦士」の誕生

小型船舶操縦士の資格についての免許制度は、昭和26年に制定された船舶職員法(昭和26年4月16日法律第149号)で海技従事者資格の最下級に初めて規定されたものであるが、当時は、総トン数20トン未満の漁船に乗り組むものが対象(5トン未満は対象外)であった。
試験も国が直接行う国家試験で身体検査と学術試験のみであったが、1年以上の乗船履歴(海技士 試験でいう乗船履歴)が必要であった。当時モーターボートなどは、極めて限られた人々に限られた 方法でしか利用されなかったので何ら問題はなかったのである。

昭和32年 五トン未満の営業船も対象に

昭和28年頃になって、相模湖や宇和島などで小型遊覧船による事故が相次いで発生したが、これらは、運航者の無資格による無知、無謀が主な原因であり社会的な批判を受けることとなった。
運輸省当局はこれらをふまえた検討の結果、昭和32年、5トン未満の船舶であっても「旅客の運送の用に供する船舶を運航する場合」には小型船舶操縦士の免許を有する船長の乗り組みを義務づけることとなった。また、この頃から琵琶湖や芦ノ湖、中禅寺湖など湖を有する観光地でモーターボートによる遊覧船が賑やかになり、小型船舶操縦士の免許を取得する者が急増した。

昭和40年 実技試験を課する制度の発足

昭和35、6年頃からいわゆるFRP製国産ボートが続々と開発されるとともにモーターボートのコストダウンがはかられ、また昭和37年には、東京都体育館で第一回東京ボートショウが開催され(3日間)入場者1万5千人を動員するなど、いわゆるモーターボートブームが湧き起こった。
一般のボートマンも急激に増え始め、それに比例して未熟な操縦者による事故も頻発することとなった。そこで当局では、1年の乗船履歴が充足できない一般ユーザーに対しても、小型免許を取得させることにより事故を未然に防止するため、昭和40年に小型船舶操縦士資格試験制度を改め、新たに乗船履歴が3カ月以上を有する者に対しては、身体検査と学術試験の他に実技試験を課す制度を採用し、資格取得制度の合理化を図ったのである。
これは一般のボートマンに「小型船舶操縦士」の資格を取得させてモーターボートの事故防止を図るというもので、乗船履歴3カ月以上の者を対象に、受験のための講習会を実施、学科教習12時間、実技教習12時間を課し、それぞれ修了試験に合格すれば国家試験を受験しなくてよいという画期的な制度であった。
講習会の実施については、学科講習を(財)日本船舶職員養成協会が、実技講習を(財)日本モーターボート協会がそれぞれ担当することとなり、これが現在の小型船舶操縦士養成施設の原型となったのである。
この制度は、一般のボートマンが「小型船舶操縦士」を取得しやすくなったということで、好評を博し各地で実施されたが、ただ一つ盲点がありやがてこの制度もいきづまることとなる。
この試験制度は、乗船履歴3カ月以上の者は前述の方法で受講、受験するわけであるが、乗船履歴一年以上の者については、従来通り身体検査と学術試験を受験すればよいのである。乗船履歴の短い者が、乗船履歴の長い者に比べて実技教習を受講しなければならないこと自体は何ら問題はないのであるが、モータボートの場合、乗組員と船主の関係といっても実に曖昧なものであり、誰でも容易に船主になれ、乗組員になれるのである。そのため、乗船履歴の証明といってもその信頼性がうすく、「三カ月組」は次第にいなくなり、「一年組」だけが激増して行く結果となった。

▲PAGE TOP

3.小型船舶操縦士養成施設の開始

昭和45年「小型船舶操縦士第一種養成施設」の開設

世間の好景気とともに、海洋レクレーションが次第に発展し、一般のボートユーザーが競って小型資格を取得するようになった。
運輸省当局は、激増するモーターボートの安全対策のため、前述の教習内容や教習時間のより一層の充実、さらに、乗船履歴の証明制度の見なおし等、「小型」制度の抜本的改正をめざし、昭和45年船舶職員法の一部を改正し、昭和46年小型船舶操縦士第一種、及び第二種養成施設を発足させた。
第一種養成施設にあっては、乗船履歴を要求せず、学科40時間、実技30時間((5名乗船)、1年後に12時間(2名乗船)に改正された)の所定の教習を受け、修了試験に合格すると国家試験は免除され、免許が取得できることとなった。特筆すべきは未経験者に免許取得の機会を与えたことである。
この養成施設を早急に整備するため、(財)日本モーターボート協会は、実技講習の方法の確立と実技教員の養成を、(財)日本船舶職員養成協会は、学科講習の方法と学科教員の養成をそれぞれ分担して担当し、互いに協力してそれぞれ小型船舶操縦士養成施設を開設することとなった。その後これらに合わせ地方法人である(財)尾道海技学院、(社)中国船舶職員養成協会、(財)関門海技協会も開催することとなった。

昭和46年 五トン未満のレジャー船も対象に

この制度改革に合わせ、それまでは主に営業船舶にのみ義務づけられていた有資格者の乗り組みを、法令を改正することなく、用語の定義を改めることにより他人を乗船させた場合免許が必要となることとなった。すなわち、船舶職員法の「旅客の運送の用に供する船舶を運航する場合」の「旅客の運送の用に供する」とは、それまでの営利のための運航のみでなく、必要最小限の運航要員以外の者を乗船させた場合をいい、したがって、リモコン装置のモーターボートを運航する場合、操縦者1人のみで操縦できるので、例え家族であっても、操縦者以外の者を乗船させた場合は資格が必要となることになった。

▲PAGE TOP

4.新たな小型船舶操縦士資格制度の制定

昭和49年 小型船舶操縦士試験機関の指定

船舶職員法は、従来職業船員を対象とした法律であり、海洋レジャーを目的とした人々を規制することには無理があったこと、またモーターボート等の小型船は、一般の大型船とは運航形態、操縦性能等は本質的に異なることにより、総トン数20トンを境に大型船の免許(当時の丙種航海士以上)とは根本的に分離し、更に小型船の運航実態に合わせ、小型一級から四級に細分化することを主旨とした法律改正が昭和49年に行われた。また、この改正のもう一方の主旨は、急増する小型免許取得希望者に対して合理的に免許試験が行えるよう既存の公益法人の力を活用した「小型船舶操縦士試験機関」を設立することであった。小型船舶操縦士試験機関の指定にあたっては、当時国家試験に代わる養成施設を実施していた5法人が対象となったが、このうち、全国法人で小型船の知識や理解が深く、特に実技に関するノウハウの蓄積や養成施設の実施に実績をあげていた(財)日本モーターボート協会が選ばれ、指定試験機関としての指定申請をするよう当局より強い要請があり、昭和49年3月の改正法施行と同時に同会が試験機関として指定された。
ここに新しい小型船舶操縦士の試験制度が発足し、(財)日本モーターボート協会は試験機関として国家試験に専念することとなり、他の4団体は、そのまま養成施設を実施することとなった。

法律改正に伴う経過措置

昭和49年以前に取得した旧小型船舶操縦士の免許は、法改正後10年間有効であり、この間に改正法附則第3条に基づき(財)日本モーターボート協会他養成4団体が設置する特別講習を受講することにより、新制度に基づく一級小型船舶操縦士の資格が与えられることとなった。 また、法改正時に業として5トン未満の船舶の操縦に従事している者については、改正法附則第4条に基づき、認定された者については、従事していた船舶の航行する区域に合わせ新制度に基づく資格(ほとんどが四級であり一、二級については5トン未満に限定)が交付された。

小型船舶操縦士試験機関の変遷

日本モーターボート協会は、試験機関として順調な発展を遂げたが、その間の主な制度の改正として、昭和54年に免許登録の電算化、昭和56年に身体障害者に対する設備限定免許の創設、昭和58年にSTCW条約による免状の更新制度の導入等が行われた。
平成3年には、諸般の情勢の変化により、沿岸レジャー安全センターと日本舟艇利用振興センターを解散し、さらに日本モーターボート協会の小型船舶操縦士の資格に係る国家試験事務、海技免状更新講習事務等を移管して統合し、日本海洋レジャー安全・振興協会が設立され、それと同時に同財団が小型船舶操縦士試験機関として指定されることとなり、(財)日本モーターボート協会は消滅することとなった。なお、試験、更新講習等に係る業務及び資産の一切が新財団「財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会」に移管され、他の業務は新に設立された(財)マリンスポーツ財団に移管された。
平成25年4月1日付で、「一般財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会」に移行し、現在に至る。

Page Top