1. 小型船舶用国際VHFとは
小型船舶用国際VHFは、スポーツ、レジャー船舶をはじめとして、どのような船舶でも任意に設置し、使用できる無線設備です。なお、マリンVHFも小型船舶用国際VHFの一部となりましたので従来どおり使用できます。
大型船舶には国際VHFの搭載が義務付けられているので、衝突などの際は、直接、大型船舶と連絡をとることができます。また、デジタル選択呼出装置(DSC)が使えますので、遭難など緊急時には、ボタン一つで自動的に遭難信号を送ることもできます。
※小型船舶用国際VHFは、船舶局の無線設備であり、主に海上の航行の安全のために使用することが原則で、陸上での使用や目的からはずれて使用すると、電波法違反で罰せられることがあります。
使用にあたっては次のことを守りましょう
- 国際VHF は、世界共通のチャンネルを多くの船舶で使用しています。通常の通報は、定められているチャンネルと手順で要領よく簡潔に送信しましょう。
- 無用な通信はしないようにしましょう。
- 通信を行なっていない時は:
- 誤って電波が発射されることがないよう注意しましょう。
- 呼出し応答のチャンネルであるチャンネル16とチャンネル77は、できる限り聴取するようにしましょう。
- ※チャンネル16 は、遭難・緊急・安全通信を含め、一般船舶局、海岸局の呼出し応答のチャンネルのため、通話には絶対使用しないでください。
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2. どのような機種があるか
技術基準適合証明を取得した以下の分類の機器が準備されておりますが、いずれも船舶局としての無線局免許申請が必要です。これらの機器で無線局を開設する場合、基本的に無線局の新設検査が不要になります。なお機器の運用には、無線従事者資格及び無線局の免許申請が必要となります。
- 5W 以下の 携帯型(DSCの内臓・組込みの機種もあります)
- 運用には第三級海上特殊無線技士以上の資格が必要です。
- この機器のみを設置する場合は、定期検査が不要になります。
- DSCの内臓・組込み機器でも、電話のみの運用が認められます。
- DSCを使用する場合は、第二級海上特殊無線技士以上の資格が必要です。
- 25W 以下の 固定(据付)型 (DSCの内臓・ 組込みの機種もあります)
- 運用には、第二級海上特殊無線技士以上の資格が必要です。
- この機器のみを設置する無線局は5年毎に定期検査が必要となります。
- DSCの内蔵・組込み機器でも、電話のみの運用が認められます。
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3. 小型船舶用国際VHFはどんな使い方ができるか
- レジャー船舶など小型船舶同士の連絡に便利です。
(呼出し応答はチャンネル77、通話はチャンネル69、72、73を使います)
- マリーナなどの海岸局と連絡ができます。
(呼出し応答はチャンネル77、通話はチャンネル86 (所属する海岸局)を使います)
- 陸上の電話回線に接続できます。(海岸局が対応している必要があります)
認められた有無線接続装置等を装備している海岸局に所属していると、有料ですが、チャンネル86を使用し、陸上の電話につなげることができます。(詳しくは、海岸局にお問合せください)
- 航行の安全に関する情報をキャッチできます。
気象・海象の異変が予想されるときや、航行の障害となる漂流物や航路標識の異常などが発生したときには、海上保安庁から情報が提供されます。
(海上保安庁からチャンネル16で呼出しがありますので、その後、指定のチャンネルに切り換えて通報を受信します)
- トラブルが発生したとき、仲間に応援や救助依頼の連絡ができます。
レジャー船など、仲間や付近を航行する船舶に応援や救助を依頼することができます。(呼出し応答はチャンネル77、通話はチャンネル69、72、73を使います)
- 一般船舶とも連絡できます。
非常時や緊急時の場合は、付近を航行中の一般船舶や大型船舶などとも通信ができます。衝突事故の回避や、故障にも役に立ちます。
(呼出し応答は、チャンネル16、通話はチャンネル6、8、10、13を使います)
- 救助機関などと連絡ができます。
万が一の遭難時には、海上保安庁などの救助機関と直接連絡が取れます。
(呼出し応答はチャンネル16、通話はチャンネル12、13、14を使います)
- DSCによる通信ができます。(DSC搭載機器)
通話チャンネルと呼出したい船舶の海上移動業務識別(MMSI)を指定しDSCを使用することにより、円滑な通話が可能となります。
(呼出し応答はチャンネル70、通話はチャンネル6、8、10、13、69、72、73を使います)
- DSCにより容易に遭難通信ができます。
DSCを装備していると、遭難時にボタン1つでチャンネル70により自動的に遭難信号が送れます。また、他の船舶の遭難信号も自動的に受信します。
また、GPS受信機と連携すれば、位置、時間などの情報を含めることができ、救助機関などの迅速な救助活動に役立ちます。
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4. どの目的にどのチャンネルを使用するのか
(1) 通常時の通信
小型船舶用国際VHFを主としてスポーツ及びレジャー船で通常時の通信に使用する場合は、次表の主としてスポーツ及びレジャー用として指定されるチャンネルでのみ運用することとし、チャンネルの選択は票の使用目的に合わせて行います。
チャンネルごとの使用目的 |
チャンネル番号 |
主としてスポーツ及びレジャー船の船舶局・海岸局との呼び出し応答用 |
77 |
所属海岸局との通信用 |
86 |
主としてスポーツ及びレジャー船の船舶局間の通信用 |
69.72.73 |
デジタル選択呼出装置(DSC)の呼び出し用 |
70 |
(公財)日本セーリング連盟などの海岸局に加入している船舶 局のみ、当該海岸局との通信を行う場合に使用できる。 |
71.74 |
(2) 航行の安全等のために、一般の船舶局・海岸局の無線局と通信を行う場合
チャンネルごとの使用目的 |
チャンネル番号 |
遭難・緊急・安全通信及び主としてスポーツ、レジャー船以外の船舶局 及び海岸局との呼び出し応答用(このチャンネルは、通話に用いてはな らない、また、通信をしていない場合はできる限り聴取のこと) |
16 |
デジタル選択呼出装置(DSC)の呼び出し |
70 |
主としてレジャー船以外の一般船舶局との通信用 |
6.8.10 |
主としてレジャー船以外の一般船舶局との船舶相互間の航行安全通信用 (呼び出し応答はチャンネル16) |
13 |
海上保安庁などの海岸局との通信用 |
11.12.14 |
港務通信又は海上保安庁の無線局との通信を行う場合のみに使用できる |
9 |
- ※呼出し応答は、チャンネル16(一般船舶)、チャンネル70(DSC)、チャンネル77(レジャー船舶)で行い、通話チャンネルを指定して通話を行う。(チャンネル70を使用する場合は事前に通話チャンネルを設定する)